誤出荷の原因5選と対策|システムと現場改善で物流品質を向上

「誤出荷の対策を進めたいが、目視や紙での管理から抜け出せない。倉庫や物流の現場で、誰でも誤出荷を防止できる仕組みを整えたい。」
こうした悩みにお答えします。
本記事の内容
- 誤出荷とは何か
- 物流・倉庫での誤出荷の対策・防止策のポイント
- 誤発送時の信頼を回復するための対応手順
誤出荷ミスの原因を特定し、適切な対策を講じることは物流品質の向上に不可欠です。
ヒューマンエラーを防ぎ、現場に最適な仕組みを構築するためのヒントを解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
誤出荷が発生する主な原因

誤出荷とは、顧客の信頼を損なうだけでなく、返品対応などのコストも発生させる重大なトラブルです。
適切な対策を講じるために、まずはなぜミスが起きるのか根本的な原因を理解しましょう。よく見られる原因は以下の5つです。
- 作業員の思い込みによるヒューマンエラーがある
- 商品・在庫管理の仕組みに問題がある
- 業務ルールが属人化している
- 倉庫内の動線や作業環境が整理されていない
- 情報伝達の不備により指示ミスが起きる
①:作業員の思い込みによるヒューマンエラーがある
物流現場で頻繁に起こる原因の一つが、作業員の思い込みや確認不足によるヒューマンエラーです。商品の見間違いや、誤った宛先へ出荷してしまうミスが発生しやすいため、仕組み化が重要です。
単調な作業の繰り返しは注意力を低下させ、無意識に確認を飛ばしてしまう要因となります。繁忙期や長時間労働で疲労が溜まっている時は、こうした人的ミスが発生しやすくなるため注意しましょう。
②:商品・在庫管理の仕組みに問題がある
在庫管理システム上のデータと実際の在庫数が一致していない状態は、誤出荷の要因です。システムの情報が実在庫とズレていると、正確なピッキング指示が出せずミスにつながります。
定期的な棚卸を行っていない倉庫や、ズレの原因を究明せずに放置している現場ではリスクの増加は避けられません。正確な在庫把握こそが、倉庫での誤出荷対策の基本です。
あわせて読みたい:倉庫管理と在庫管理の違いは?効率化やシステム化のコツを解説
③:業務ルールが属人化している
明確なマニュアルがなく、個人の経験や記憶に頼って作業している「属人化」も誤出荷の原因となります。人によってやり方が違うと、新人への教育内容にばらつきが出てミスが増える要因です。
ルールが曖昧な現場では、以下のような問題が常態化しやすくなります。
- 検品項目の見落とし
- 自分勝手な手順の省略
- 機能していないチェック体制
④:倉庫内の動線や作業環境が整理されていない
ピッキングした商品とこれから出荷する商品が混在している作業環境は、誤出荷防止の観点から望ましくありません。整理整頓がされていない倉庫では、正しい商品を取り出すことが難しくなります。
出荷頻度の高い商品が奥にあって取り出しにくかったり、通路が狭かったりすると作業員の負担が増大します。結果として集中力が切れ、ミスを誘発してしまうのです。
⑤:情報伝達の不備により指示ミスが起きる
注文情報を用紙に手書きで転記するなど、人の手を介した情報伝達は指示ミスの元です。アナログな作業フローでは、どれほど注意していても書き間違いや入力漏れが起きてしまいます。
受注システムと出荷管理システムの連携有無で、リスクには大きな違いが生まれます。
| 管理方法 | 特徴 | リスク |
| アナログ管理 | 手書きや目視による転記 | 書き間違いや見落としが多発する |
| システム連携 | データによる自動連携 | 情報の不一致や伝達ミスを大幅に低減できる |
誤出荷が引き起こす経営リスク
誤出荷とは、商品のピッキングや検品ミスにより、注文と異なる内容で発送してしまうことです。
宛先を間違える誤発送なども含め、こうしたトラブルは多大な経営リスクとなります。
※本記事では、注文内容と異なる出荷(商品違い・数量違い・同梱漏れ等)を誤出荷、宛先違いを誤配送として整理します。
顧客満足度・信頼の低下
届いた商品が違えば顧客の期待は裏切られ、企業への信頼感は低下します。
物流現場にとっては「数千件のうちの1件」のミスであっても、顧客にとっては「手元に届く唯一の荷物」です。
ギフトやイベントなど、期限のある注文であれば、その一度のミスがブランドに対する決定的な不信感につながり、リピート購入の機会を失うケースもあります。
リカバリー対応にかかるコスト増加
誤出荷の防止が徹底されていないと、返品対応や再発送に本来不要なはずのコストと時間を費やすことになります。
発生する主なコストや負担は以下のとおりです。
- 返送・再送の送料:高額になりがちな返品時の運賃に加え、再送分の送料も重なり、物流コストを二重に圧迫する。
- 梱包資材と商品のロス:資材だけでなく、食品などは衛生上の理由で廃棄が必要となり、商品原価そのものが損失に直結する。
- 対応に伴う人件費の増大:クレーム対応や原因究明にカスタマーサポートの工数が割かれ、本来注力すべき業務が停滞する。
実在庫とデータのズレ
物流の誤出荷を含む入出庫管理・返品処理・棚卸運用が不十分な場合、帳簿在庫と実在庫にズレが生じやすくなります。
在庫のズレが招くトラブルは以下の3つです。
- 売り越し(欠品トラブル):データ上は在庫があるのに実際は不足している状態で、注文後の欠品発覚を招く。
- 機会損失:倉庫に在庫があるのに、データ上の「在庫なし」により販売のチャンスを逃す状態。
- 経営判断への悪影響:正確な在庫数が分からないと、適切な発注計画が立てられない。
システム導入による誤出荷の防止・対策方法

誤出荷が発生する主な原因は、ピッキングや検品作業における人的ミスです。目視確認や紙のリストに頼るアナログ運用では、どれだけ注意しても誤出荷の防止に限界があります。
在庫管理システムなどのツールで自動化を進めることが、倉庫の誤出荷対策として有効です。活用を検討したい物流システムやツールは主に以下の3つです。
- WMS(倉庫管理システム)
- ハンディターミナル
- 物流ロボット
WMS(倉庫管理システム)の活用
WMS(倉庫管理システム)とは、受注から出荷までの情報を一元管理して自動化する仕組みのこと。人の手による情報の転記ミスやチェック漏れがなくなり、誤発送のリスクを減らせます。
在庫状況をリアルタイムで把握できるため、システム上の数字と実在庫のズレを防げる点もメリットです。WMSを導入するメリットは以下のとおりです。
- 出荷工程の可視化によるミスの早期発見
- ピッキング経路の最適化
- 作業時間の短縮と物流品質の向上
単なる再発防止策にとどまらず、倉庫業務全体の効率化に貢献し、物流DXを促進するシステムです。
ハンディターミナルの活用
ハンディターミナルによるバーコード管理は、ピッキングや検品時のミスを減らす実用的な方法です。商品をスキャンしてデータ照合するため、取り間違いや数量不足の発生を減らせます。
ハンディターミナルは、WMSと連携してバーコード照合を行うケースが一般的です。小規模ではハンディ中心の運用から始め、必要に応じてWMSへ拡張する方法もあります。
操作が直感的なので、IT機器に不慣れなスタッフでもすぐに使いこなせ、教育コストも抑えられます。
物流ロボットの活用
物流ロボットや自動梱包は、標準化された運用(マスタ整備・例外処理設計)と組み合わせることで誤出荷リスクの低減対策に寄与します。正確なピッキングと梱包を自動化することで、ミスが起こりづらい環境を構築できます。
24時間の連続稼働により、出荷スピードも向上が見込めます。導入時に知っておきたい点は以下のとおりです。
- 高額な初期投資が必要
- メンテナンスなどのランニングコストがかかる
- 主に大規模倉庫での導入が多い
ライン停止のリスクに備えた保守管理の重要性を踏まえ、自社の規模に合わせて費用対効果の高いシステムから段階的に導入することをおすすめします。
現場の工夫による誤出荷の防止・対策方法

誤発送や誤出荷を防ぐには、システム導入だけでなく現場の工夫が欠かせません。業務改善を通じてヒューマンエラーを減らし、信頼される物流体制を構築できます。
現場で実践したい改善ポイントは以下の5つです。
- ロケーション管理の徹底
- 倉庫内の整理整頓
- 明確なマニュアルによる作業の標準化
- 従業員の教育・訓練の再実施
- 物流アウトソーシングの検討
ロケーション管理の徹底
ロケーション管理とは、倉庫内のどこに何が保管されているかを明確に決めることです。商品の保管場所が曖昧だとピッキング時に取り間違いが起こり、誤出荷原因となってしまいます。
出荷頻度や商品特性ごとの配置基準は以下のとおりです。
| 分類 | 配置場所 | 目的 |
| 出荷頻度が高い商品 | 出荷口の近く | 移動時間の短縮 |
| 季節商品 | 倉庫の奥または入口付近 | シーズンごとの効率化 |
| 商品カテゴリー | 品目ごとにグループ化 | 検索時間の短縮 |
ロケーション情報は全スタッフで共有し、ルール変更時には周知徹底を行いましょう。属人化を避けることで、誰が作業してもミスが起きにくい誤出荷対策が実現します。
倉庫内の整理整頓
倉庫内が整理されていないと、ピッキングした商品と在庫が混ざり、誤出荷のリスクが高まります。整理整頓の徹底によって、物流の誤出荷対策と作業効率の向上を同時に実現可能です。
具体的な取り組み内容は以下のとおりです。
- 十分な作業スペースと通路幅を確保する
- 業務終了時にスペースを片付け、翌日の環境を整える
- 先入れ先出しのルールを厳格に守る
明確なマニュアルによる作業の標準化
誤出荷を防ぐには、作業ルールを明確に定めて全スタッフへの周知を徹底する必要があります。マニュアルを作成して同じ手順で業務を実施し、教育品質のばらつきを防ぎましょう。
マニュアルに含めるべき項目を以下にまとめました。
- 入荷時の数量確認手順と商品保管ルール
- 梱包前検品で商品を1点ずつ確認する手順
- 1梱包ごとに作業を完結させるルール
- 送り状と納品書、出荷指示書をセットにする手順
作業マニュアルは定期的に見直し、実務で得た誤出荷対策の知見を反映させてください。スタッフからの提案を取り入れ、現実的で実行可能な内容に改善することが大切です。
従業員の教育・訓練の再実施
新人だけでなく経験者も定期的に教育を受け、品質意識を高く保つことが求められます。誤出荷防止のため、ミスが発生した際は全スタッフで情報を共有し、学習の機会にしましょう。
再発防止に向けた取り組み方法は以下のとおりです。
- 報告書の作成:経緯と原因をまとめることでノウハウを蓄積する
- 情報共有:全員で内容を確認することで、同じミスを回避する
- ダブルチェック:複数人で確認することでミスの早期発見につながる
二人体制によるチェックは、導入しやすく即効性のある対策です。検品作業も同様に二人で実施すると、誤出荷の発見率を高められます。
物流アウトソーシングの検討
社内の工夫だけでは誤出荷の対策に限界がある場合、物流アウトソーシングも有効な方法です。これは、自社でスタッフを教育したりシステムを導入したりする代わりに、商品の保管から発送までの一部または全部を物流のプロに任せる方法です。
アウトソーシング検討時の比較ポイントはこちらです。
| 項目 | 社内対応 | アウトソーシング |
| 品質管理 | 属人的になりやすい | システム化され高精度 |
| 業務負担 | スタッフの負担大 | 自社のコア業務に集中できる |
| コスト | 人件費・教育費 | 初期費用・委託費 |
誤出荷による返品コストやクレーム対応を考慮すると、長期的には経済的メリットが大きくなります。委託先を選ぶ際は、誤出荷率の実績を比較して自社に合うパートナーを選定してください。
誤出荷が発生した直後の対応手順
誤出荷は、迅速な対応が信頼回復に欠かせません。誤出荷が起きた直後に実践すべき3つの対応ステップを解説します。
①:顧客へ迅速にお詫びの連絡を入れる
誤出荷が判明した時点で、できるだけ速やかに顧客へ連絡することが重要です。対応を後回しにすると不信感が募り、クレーム対応がより難しくなります。
連絡時には以下の内容を必ず伝えてください。
- 発生した事実と誤出荷内容の説明
- 顧客への心からのお詫び
- 正しい商品を再発送する具体的なスケジュール
- 手元にある商品の返送方法と送料負担について
- 担当者の連絡先と対応期限
正しい商品の再発送を手配する
謝罪と並行し、最優先で正しい商品を発送します。この際、同じミスを繰り返さないよう、複数人でのダブルチェックを徹底しましょう。
再発送時のポイントは以下の4つです。
- 正しい商品であることを複数人で確認して梱包する
- 再発送である旨とお詫びのメッセージを同梱する
- 追跡可能な配送方法を選び、状況を顧客へ共有する
- 返送用の着払い伝票などを同梱し、返送方法を案内する
原因を特定して再発防止策を立案する
事後対応を終えたら、根本原因を特定します。個人の注意力に頼るのではなく、バーコード検品やWMSの導入など、ミスが起きにくい仕組みを整えることが誤出荷防止につながります。
また、マニュアルの整備やルールの徹底は、低コストですぐに取り組める物流の誤出荷対策です。原因と対策内容を社内で共有し、スタッフ全員の品質意識を高めることも忘れてはいけません。
まとめ
誤出荷とは、顧客の信頼を損なうだけでなく、返品対応や再送コストといった経営リスクに直結する重大なトラブルです。
現場のヒューマンエラーを減らし、誤出荷を防止するには、WMSなどの物流SaaSやハンディターミナルの導入による「仕組み化」が欠かせません。あわせて、ロケーション管理やマニュアル整備といった現場の改善の並行が、物流の誤出荷対策で成果を出す近道となります。
まずは自社のミスがどこで起きているのか、特定することから始めてみてください。
自社の物流規模に合わないシステムを選ぶと、操作が難しすぎて現場で使われなくなる恐れがあります。「導入して失敗した」と後悔せず、確実に誤出荷を防止したい方は、下記の調査資料も参考に選定を進めてみてください。
