倉庫レイアウトの基本の考え方は?図の設計や最適化手順を解説

「今の倉庫レイアウトでは保管スペースが不足して作業動線も非効率…でもSKUデータや将来の拡張性まで考えるべきか正直分からない。」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- 倉庫レイアウトの基本パターン解説
- チェックしたい設計基準とポイント
- 設計から最適化までの具体的手順
倉庫レイアウトの見直しは、狭い倉庫でも動線を最短化し、無駄なく作業効率を高めるのに有効な方法です。
現状の悩みだけでなく、将来的な設備拡張などにも柔軟に対応できる倉庫レイアウトの考え方が分かります。レイアウト図の作成例や物流倉庫での最適化手順も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
倉庫レイアウトの基本

倉庫レイアウトの基本は、限られたスペースで作業効率と保管効率を最大化する設計にあります。
最適な倉庫のレイアウトは、業務フローを可視化し、動線・保管・安全性を考慮したゾーニングから始まります。通路幅やラックの配置によってピッキング・出荷・荷捌きなどの作業効率が大きく左右されるためです。
具体的には、通路幅を最適化し出荷頻度の高い商品は入り口付近に配置、デッドスペースの活用によりスペースを有効活用できます。
現状把握や動線設計、ゾーニング、保管のABC分析(※)、安全基準対応などを意識した倉庫レイアウトこそが、費用対効果や事業拡張に貢献する設計となります。
※ABC分析とは、在庫商品を出荷頻度や出荷金額の重要度に応じてA・B・Cの3ランクに分類し、それぞれに適した管理を行う手法
| レイアウト型 | 動線の特徴 | 保管効率 | 主な利用シーン |
| I型 | 一方通行で、端から端へ通り抜ける | 通路やトラックの場所を両側に取るため、収納が減る | ・大量輸送 ・在庫を持たない通過型センター(TC) |
| U型 | トラックをつける場所を一面に集約できる | 3面の壁を収納に使えるため、無駄なスペースが出にくい | ・標準入出荷 ・多品種少量 ・小口配送 |
| L型 | 入庫エリアと出庫エリアを別の面に分ける | ・不整形に対応 ・角を利用して区切りやすい ・I型と同じく2面が潰れるが、まとまったスペースを確保しやすい |
変形・狭小スペース |
I型レイアウトの特徴
I型レイアウトは、入荷から出荷までが一直線でつながる配置です。
この倉庫レイアウトはシンプルで動線の無駄が少なく、保管スペースを効率的に活用できます。入荷口・保管場所・出荷口が直線状に並び、ピッキングや検品作業を流れるように進められます。
小規模から中規模倉庫や長方形の空間で導入しやすく、作業者の移動距離が短縮され、工程の見通しが良い点が特徴。途中で動線が交差しにくいため混雑しにくい点もメリットです。
U型レイアウトの特徴
U型レイアウトは、入荷と出荷が同じ側にあり倉庫内をU字状に回遊する動線設計です。
ピッキング・検品・出荷の各エリアが近くにまとまるため、スタッフが往復する無駄をカット。コンパクトかつ効率的な倉庫運営が可能になります。
ECや店舗配送など、小口・多品種の物流に適しています。保管効率と作業効率のバランスが取りやすく、限られたスペースでもパフォーマンスの高い倉庫レイアウトです。
L型レイアウトの特徴
L型レイアウトは、主にL字型の土地や建物といった物理的な制約に対応するために採用される設計です。
入荷と出荷のエリアを異なる面に配置することで動線を分離しやすいメリットはありますが、直角に折れる構造はAGVやAMRなどの自動化機器にとって制御が複雑になりやすく、必ずしも最適とは言えません。
機能面での積極的な選択というよりは、不整形な建物や狭い倉庫に対応するための解決策として位置づけられます。
倉庫レイアウトでチェックしたいポイント
効率的な倉庫運営を実現するには、レイアウト設計時に以下4つのポイントを押さえる必要があります。各ポイントのチェックにより、スペース活用や作業効率、安全性を高められます。
- 現場で起きやすいボトルネック
- 投資コストとROIの目安
- 安全基準と法規のチェック
- 将来の拡張計画性
現場で起きやすいボトルネック
倉庫現場では、動線の干渉やゾーニングの不備がボトルネックになりがちです。主な問題を以下に挙げます。
- 入荷・出荷の動線が重複し、作業員やフォークリフトが集中して渋滞が発生
- 棚間の通路が狭く、作業が停滞
- 商品保管の優先順位が不明確で、ピッキング動線が長くなる
- デッドスペースや使われない棚の発生
これらを解消するには、一筆書きレイアウトのI型やU型・L型を活用した動線の設計が有効です。
物流倉庫のレイアウト例では、通路幅やフォークリフトの旋回半径も考慮した設計が求められます。
投資コストとROIの目安
倉庫レイアウトの最適化には、初期投資の金額と効果の具体的な把握が重要です。
ラックや自動倉庫、搬送機器の導入はコストがかかりますが、省人化・効率化による人件費削減効果も期待できます。
以下のような計算を用いて、投資効果を測定します。
- 投資回収期間(ペイバック期間)の目安:初期投資額÷(年間削減額-ランニングコスト(年間)
- ROI(投資利益率):(年間削減額-ランニングコスト)÷初期投資額
※ROIとは、倉庫システム(WMS)、自動化設備、レイアウト変更などに投じた費用に対し、「どれだけの利益やコスト削減が得られたか」を示す指標
【設備の種類によるROIと効果の違い】
| 設備投資 | 投資回収目安 | 主な効果 |
| 棚・パレットラック | 1〜3年 | 保管容量と作業スピード向上 |
| AGV・AMR | 2〜5年 | 移動の省力化・ヒューマンエラーの減少 |
| WMS・ピッキングシステム | 1〜4年 | 誤出荷防止・動線最適化 |
安全基準と法規のチェック
倉庫レイアウト図の作成では、労働安全・建築・消防などの関連法規を必ず確認し、適合する構造として設計する必要があります。
通路幅は人員・車両の通行に十分な広さを確保し、フォークリフト使用時は旋回半径や視界の確保も考慮します。倉庫の床の耐荷重・耐震性・避難通路・非常口の配置も必須です。
危険物区画やリチウムイオン電池の充電場所、スプリンクラー設備の有無も確認が欠かせません。労働安全衛生法・建築基準法・消防法、日本倉庫協会ガイドラインを順守しましょう。
近年は、省エネやESGへの配慮としてLED照明や無駄のない動線設計も求められています。
将来の拡張計画性
倉庫のレイアウトは一度決めると簡単に変更できないため、将来的な拡張や業態変化を見越した柔軟な設計が求められます。
新規SKU追加や需要ピークへの対応、物流量増加時のスペース余力を確保しましょう。メザニンや高層ラックによる立体拡張計画も有効です。
動線や作業区分を容易に切り替えられる可動式設備の活用も検討できます。将来の自動化設備導入やITシステム連携を想定した基礎インフラ設計を行いましょう。
狭い倉庫のレイアウトでも、これらの工夫で急激なビジネス変化に柔軟に対応できる倉庫を実現できます。
倉庫レイアウトの設計基準

倉庫レイアウトの設計は、作業効率や保管効率を最大化しつつ、安全性や拡張性にも配慮することが重要です。
物流倉庫のレイアウトでは、以下の設計要素の体系的な判断が必要になります。
- 通路幅と旋回半径
- ラックの選定
- スロッティングの設計
- ピッキング方式
- 容量計算
通路幅と旋回半径の目安
倉庫の通路幅や旋回半径は、安全性と作業効率に直結します。
フォークリフトを使用する場合の必要通路幅は、機種や荷姿、旋回条件によって大きく異なります。
一般には3m前後以上を確保するケースが多いものの、実際にはメーカーカタログの直角積付通路幅などの仕様値や社内安全基準に基づき個別に設定することが重要です。
作業スペースや荷物のサイズを踏まえ、現場の運用に適した幅を設定しましょう。幅を狭めると保管効率は上がりますが、作業の安全性が低下しやすいため、運用実績や安全規則も考慮が必要です。
- ナローアイル型:空間活用に優れていますが、高度な運転技術や特殊機器が必要
- 標準通路型:汎用性が高く、中小規模倉庫や頻繁な人手作業に向いている
ラックの選定基準
ラック選定は、SKUの種類や回転率、保管形態ごとに最適なタイプを判断します。
倉庫の天井高やスペース、荷物の保管期間・頻度、在庫管理方式も選定基準となります。
【主なラックの種類】
| ラックの種類 | 特徴 | 推奨のケース |
| セレクティブラック | 汎用性とアクセス性が高い | 多品種少量・高回転 |
| ダブルディープラック | 保管効率とラック間口のバランス | 中から多品種・中回転 |
| ドライブインラック | 高密度で通路削減可能 | 少品種多量・長期保管 |
スロッティングの設計基準
スロッティングは、商品の配置場所を決定する工程です。
効率的な動線設計のため、ABC分析を活用します。出荷頻度の高いA品はピッキング導線の手前に配置し、C品は奥側に配置し、保管効率を優先します。
ピッキング時間と歩行距離の短縮により、誤出荷や在庫の混乱を防止できます。
ピッキング方式の配置設計
ピッキング方式の選定・配置は、作業効率や在庫精度に直結します。
主なピッキング方式は以下の4つです。
- ゾーン方式:倉庫を区分けし、作業員が担当エリア内のみでピッキングする手法。動線の短縮や渋滞緩和に加え、担当者の習熟が早い。
- バッチピッキング方式:複数の注文をまとめて集品し、後工程で仕分ける手法。同じ商品を一度に取りに行けるため、移動回数を大幅に削減できる。
- クラスタピッキング方式:カートに複数の注文箱を載せ、集品と同時に仕分けを行う手法。後の仕分け作業が不要で、効率と正確性を両立できる。
- GTP方式:ロボット等が商品を「人の手元」まで運んでくる定点作業方式。歩行時間をゼロにでき、圧倒的な生産性と省人化を実現。
レイアウト設計時は、上記方式ごとにラック配置を最適化し、ピッキングリストやWMSと連携して動線をシミュレーションします。自動化機器の導入も、必要に応じて検討しましょう。
容量計算と坪効率の算出
倉庫レイアウト図の作成には正確な容量算出が不可欠です。
パレットポジション数や坪効率を計算し、物理的な制約を考慮します。
- パレット寸法や商品サイズ、ラックの段数で容量計算し、坪効率を比較検証
- 将来拡張やピーク需要にも対応できる余力を持たせる設計が重要
多層構造や自動倉庫活用により、同一敷地で保管容量を大きく向上させる事例も増えています(約2倍程度まで向上したケースもあります)。
保管効率と作業効率はトレードオフになりがちなので、現場実態とKPIをもとに適切な倉庫レイアウトの決定がおすすめです。
倉庫レイアウトの設計手順
倉庫レイアウトを最適化するには、現状把握から安全基準に適合した設備選定、図面による検証までのプロセスが必要です。実務で失敗しないための以下の手順を解説します。
- 現状データを収集する
- 動線を設計する
- ゾーニングを計画する
- 設備の選定を安全基準に適合させる
- 図面テンプレートとチェックリストで検証する
①現状データを収集する
現場の課題や非効率の根本を突き止めるため、現状を定量的に把握します。
収集すべきデータは以下のとおりです。
- 入荷量・出荷量、ピーク時の動向
- SKU(品目)ごとの寸法、重量、回転率
- ピッキングや荷捌き場のボトルネック
- 庫内動線、人員配置の現状
- 建築条件(床耐荷重・柱・天井高・法的制約)
SKUごとの保管回転率や寸法・重量を把握すれば、最適なゾーニングやラック種類の選定根拠が明確になります。
現場ヒアリングやWMSデータ分析を行い、人的ミスや渋滞箇所など現場の見える化も進めましょう。
②動線を設計する
動線設計は作業効率向上と安全性確保に欠かせません。動線が悪いと無駄な移動や誤出荷が頻発します。
設計時のポイントは次のとおりです。
- ピッキング、入出荷、補充のメインフローを一筆書きに
- U型・I型・L型フローの特徴を比較
- フォークリフトやAGVの旋回半径を考慮した安全な通路幅の設定
- 優先度・出庫頻度の高い商品は出口付近に
自社の物流形態や現場の制約に最適な倉庫レイアウトを選択できます。
③ゾーニングを計画する
ゾーニングとは、庫内を「保管・流通加工・ピッキング・荷捌き」などのエリアに区分する方法です。
ゾーニング設計が明確であれば、動線遮断や誤出荷リスクの低減、作業効率向上につながります。
- SKUのABC/XYZ分析による配置戦略
- デッドスペース削減、空きスペース確保
- 作業別エリア(荷受・保管・流通加工・出荷・返品)で明確に
- 冷凍・危険物・逆物流・付加価値作業専用ゾーンの設定(法規準拠)
Aランク商品は出入口近くに集約、Cランク商品は高層ラックなどで保管というスロッティング手法を適用すると、ピッキング効率を向上できます。
通路幅やエリア配置は倉庫法や労働安全衛生法・建築基準法・消防法などの法的根拠も必ず確認しましょう。
④設備の選定を安全基準に適合させる
設備選定は、スペックや価格だけでなく、現場特性・安全性・将来の拡張性を重視します。
検討項目は以下のとおりです。
- フォークリフト種別別の通路幅・旋回半径確保
- ラックの保管効率比較
- 自動化設備の費用対効果とROI
- メザニン導入による多層活用
- LED照明・省エネ・ESG視点の設備選定
- 法規・ガイドライン準拠
目先の省コストではなく、中長期での作業効率と安全性・拡張性をどう両立させるかがポイントです。
⑤図面テンプレートとチェックリストで検証する
最後に、設計案を3D図面や倉庫レイアウト図として形にし、実際の運用を想定したシミュレーションを実施します。
現場での人的動線や設備干渉、ボトルネックを事前に仮想検証できるため、失敗のリスクを最小化できます。
- 倉庫レイアウト図作成のテンプレート活用
- 作業別KPIとチェックリストで最終検証
- 安全確認(避難経路、消火設備、法規準拠)
- 何パターンか比較検証し、最適案をベンチマーク事例と照合
デジタルツインやRTLSによる動線検証・ピッキングヒートマップ分析など、最新技術の活用が有効です。
倉庫レイアウトの最適化アプローチ【アイデア】

倉庫管理において、倉庫レイアウトの最適化はスペース不足や動線の非効率、ピッキング作業の遅延などの課題を解決するテーマです。
ここでは、最新の技術やデータ分析を取り入れた、現場ですぐに役立つレイアウトの作り方を5つ解説します。
- WMSと連携して運用を標準化する
- デジタルツインで動線を検証する
- AMR・AS/RSを段階的に導入する
- ABC分析を実行する
- XYZ分析で需要変動を捉える
WMSと連携して運用を標準化する
WMS(倉庫管理システム)とレイアウトを連携させれば、在庫ロケーションやピッキング順序がシステム上で体系化され、現場の属人化を解消できます。
作業の「標準化・可視化」に加え、WMS連動型のピッキングカートやRFIDを活用することで、誤出荷や在庫の混乱、無駄な移動の削減も可能です。
デジタルツインで動線を検証する
デジタルツインは、倉庫をデジタル化し、作業や物の流れをシミュレーションする技術です。
目に見えないボトルネックを事前に特定できるのが特徴。AGV(無人搬送車)のルート確認や複雑なエリア設計も、実装前のテストにより、投資リスクと現場の混乱を防ぎます。
AMR・AS/RSを段階的に導入する
AMR(自律走行搬送ロボット)やAS/RS(自動倉庫)は、作業の自動化と倉庫レイアウト変革を同時に推進できる施策です。
従来の人力ピッキングや固定棚配置では、生産性や拡張性に限界があります。
ナローアイル(通路幅縮小)や高層棚+シャトル型GTP(商品自動搬送)との相性がよく、段階的な自動化投資が容易です。
AMR対応のL型・I型レイアウトへの移行により、動線交差や混雑リスクも減少します。
【AMR・AS/RSの導入前後の比較】
| 導入前 | 導入後 |
| 通路幅広めで人作業中心 | 通路幅最小化&自動ロボット搬送 |
| ピッキングでの歩行距離大 | 定点ピッキング・ロボット配送 |
| ピーク時に人員追加必須 | シフトレス化・人員最適化 |
ABC分析を実行する
ABC分析は、在庫品目を出荷頻度や重要度ごとにA(高頻度)・B(中頻度)・C(低頻度)に分類し、保管場所や作業動線を最適化する基本的な手法です。
動線を最小化しピッキング効率を高めるためには、頻繁に出荷される商品を出口付近に集約配置する必要があります。
Aランク商品は出荷口の近く、Bランクは中間、Cランクは奥や上層階に配置することで、保管効率と作業効率を両立。
ABC分析の結果は、WMSと連動することで保管場所自動最適化にも活用可能です。
XYZ分析で需要変動を捉える
XYZ分析は、在庫アイテムを需要の安定性や変動性で3グループ(X:安定・Y:季節変動・Z:不規則)に分類し、保管戦略を立案する手法です。
需要が安定している在庫と変動の激しい在庫で、最適な保管場所や数量が異なります。
- Xグループ:定番品として動線短縮重視で保管
- Yグループ:ピーク時拡張に備えて柔軟なゾーニングを組む
- Zグループ:別エリアでの保管や受注生産にするなど個別管理が有効
ピーク時の混雑や誤出荷リスクの低減、スペース効率向上が実現します。
まとめ
本記事では、物流効率を決定づける倉庫レイアウトの設計手法について、動線の最短化やI型・U型・L型のパターン、ABC分析を用いた配置の最適化などを解説しました。
倉庫レイアウトの効果を最大化し、誰が作業しても迷わない高効率な現場を実現するためには、運用を支える物流システムとの連携が欠かせません。
改善したレイアウトに合わせ、低コストかつスピーディに導入できる仕組みをお探しなら、SaaS型 WMS 倉庫在庫管理システム「W3 mimosa」をご検討ください。
W3 mimosaは、ロケーション管理の柔軟性が高く、レイアウト変更後の在庫移動もスムーズに対応可能。直感的な操作性で、新しい動線設計の効果を即座に現場へ反映させられます。
実際に、現場の作業データを可視化し、人員配置や動線を徹底的に見直したことで、赤字だった物流拠点をわずか半年で黒字化させた事例もあります。
WMSによる効率的なレイアウトと運用の見直しが経営にどのようなインパクトを与えるのか、ぜひ改善のヒントとしてご覧ください。