物流コストの削減方法は?削減対象や具体的なアイデア7選解説

コストを削減した物流コスト

「配送品質を落とさずに物流コストを削減したいが、属人化した業務への対応や燃料高騰の影響をふまえ、どのように効率化すべきか正解がわからない。」

こうした悩みを解決します。

本記事の内容

  • 物流コスト高騰の背景
  • 削減対象となる物流コストの主な内訳
  • 物流コストを削減する方法・アイデア

物流コストの可視化と各工程の最適化により、配送品質を維持しながら、現場の無駄を削減し、効率的な物流体制を整えることが重要です。

本記事では、物流コストの具体的な削減手法からアイデアまでわかりやすく解説します。利益を最大化するための参考に、ぜひ最後までご覧ください。

物流コスト削減に取り組む前に知るべき高騰の背景

ハンディターミナルとWMS

物流コストを効果的に削減するには、業界を取り巻く高騰の要因を正確に把握する必要があります。単なる経費削減ではなく、社会的な構造変化の理解が持続可能な物流体制の構築には重要です。

現在の物流費が上昇している背景には以下3つの要因があります。物流のコスト管理を徹底するために、それぞれの詳細を確認しましょう。

  • 稼働時間の制限によるドライバー不足
  • 原油価格の高騰による燃料費の上昇
  • 多頻度小口配送による積載効率の悪化

稼働時間の制限によるドライバー不足

物流コスト高騰の大きな要因は、深刻なドライバー不足と人件費の上昇です。働き方改革関連法の施行により、トラックドライバーの時間外労働に上限が課されたことで現場に影響が出ています。

  • 労働時間の制限:1人あたりの走行距離が短くなり、長距離輸送には交代要員が必要になる
  • 高齢化の進行:若手入職者の減少と現役層の高齢化が重なり、労働供給が需要に追いつかない
  • 改正物流関連法の施行:2026年4月より、荷主企業には物流効率化への主体的な取り組みが義務付けられる

これらの背景により、企業は配送網維持のために多くの配送コストを投じる必要に迫られています。運送業のコスト削減を進めるには、この労働環境の変化へ対応しなければなりません。

参考:経済産業省|物流効率化法について

原油価格の高騰による燃料費の上昇

燃料費の上昇は、輸送コストを直接的に押し上げる要因です。世界的な情勢不安やエネルギー需要の変化に伴い原油価格が高止まりしており、運送会社の収益を圧迫しています。

項目 物流コストへの影響 主な原因
直接的コスト 燃料サーチャージの発生 原油価格の国際的な乱高下
間接的コスト 梱包資材などの値上がり 石油製品の製造原価上昇

運送会社は上昇した燃料費を運賃に転嫁せざるを得ない状況にあります。物流費の負担増は今後も続く見通しです。

多頻度小口配送による積載効率の悪化

EC市場の拡大に伴い配送形態が少量・多頻度へシフトしたことが、物流効率を低下させています。一度に大量の荷物を運べず何度も往復する回数が増えたことで、トラックの積載率が低下しました。

  • 出荷単位の極小化:1件あたりの配送単価が実質的に割高になる
  • 受取指定の増加:配送時間の指定や再配達が重なり、車両の稼働効率が下がる
  • 積載率の低下:満載でない状態で車両を走らせる回数が増え、輸送コストが膨らむ

配送ニーズの高度化に対応しようとするほど、1点あたりの物流コストは跳ね上がります。物流コストの削減方法として、積載効率の悪化をカバーするアイデアが求められています。

削減対象となる物流コストの主な内訳

コスト削減に成功した物流倉庫

物流コストを効果的に削減するには、まず支出項目の分類が大切です。コストの内訳を可視化すれば、削減の優先順位や改善すべきポイントが明確になります。

物流費は以下5つの項目で構成されています。

  1. 輸送費:荷物の運送にかかる費用
  2. 保管費:倉庫の賃料や維持にかかる費用
  3. 荷役費:商品の入出庫やピッキングにかかる人件費
  4. 梱包費:段ボールや緩衝材などの資材費
  5. 物流管理費:事務作業やシステム運用にかかる費用

これらの物流業務に関する支出を把握し、項目ごとに適切な改善策を練ることがコスト最適化の基本です。

参考:物流改善の考え方は?進め方や3Mの解消方法を事例つきで解説

輸送費

輸送費は物流コストの中でも大きな割合を占めるため、優先的な見直しが求められます。燃料費の高騰や2024年問題による運賃上昇の影響を受け、多くの企業が輸送コスト削減を急いでいます。

輸送費を抑えるための具体的なアイデアは以下のとおりです。

削減手法 内容 期待できる効果
配送ルートの最適化 システムで最短ルートを算出する 燃料費の抑制と走行距離の短縮
共同配送 他社の荷物と混載して運ぶ 積載率の向上と運賃負担の軽減
モーダルシフト 鉄道や船舶での輸送に切り替える 大量輸送による低コスト化

最近は物流DXによる効率化を進める企業が増えています。AI配車システムを活用すれば、属人化していた配送管理の自動化によるコストダウンが可能です。

保管費

保管費を削減するには、在庫量の最適化と拠点の整理がポイントです。回転率の低い在庫が倉庫に滞留すると、賃料や光熱費が利益を圧迫する要因となります。

保管費を削減するためのアプローチは、以下の3点です。

  • 拠点の集約・統廃合:複数の倉庫を大型拠点へ統合し、賃料や管理者の人件費などの固定費を圧縮する
  • WMS連携による在庫最適化:倉庫管理システムで在庫をリアルタイムに把握し、スペースのムダを生む過剰在庫を排除する
  • ロボットによる空間活用:自動化設備の導入により、限られた面積での収容効率を高める

データに基づき拠点の配置を最適化することが、配送品質を維持しながら保管効率を改善するのに欠かせません。

あわせて読みたい:物流最適化の進め方|AI・拠点刷新で人手不足とコスト高を解消

荷役費

荷役費は、出荷や検品といった現場作業にかかる人件費が大半を占めます。このコストを抑えるには、現場の作業動線を見直し、生産性を高める工夫が必要です。

荷役作業を効率化するための具体的な手段を紹介します。

  • AGV(自動搬送ロボット)の導入:人の移動距離を減らし、作業時間を短縮する
  • IoTによる行動分析:作業者の動きを可視化し、無駄な待ち時間を削減する
  • ロケーション管理:高頻度で出荷する商品を手に取りやすい場所に配置する

人手不足が深刻化する中で、システムによる物流の自動化は配送コスト削減にも有効です。

梱包費

梱包費は、資材費とそれにかかる人件費で構成されるコストです。一つひとつの単価はわずかですが、出荷量が多いほど全体の物流費に与える影響は大きくなります。

梱包費削減を実現するために、以下の項目を検討しましょう。

  • 資材サイズの最適化:商品の大きさに合う箱を選び、緩衝材の使用量を減らす
  • 資材の共通化:箱の種類を絞って大量発注し、仕入れ単価を抑える
  • 通い箱の導入:繰り返し使える容器を活用し、使い捨て資材の費用をカットする

資材の見直しは、梱包スピードを上げるための作業効率化と併せて検討しましょう。

物流管理費

物流管理費は、受発注や在庫管理に伴う事務工数やシステム維持にかかる費用です。この分野はアナログな業務が残りやすいため、デジタル化によるコスト削減の余地があります。

物流コスト管理を強化するための主な対策は以下の3つです。

  • WMSやTMSの導入:Excel管理を卒業し、情報の共有をスムーズにする
  • 3PLの活用:物流業務を専門業者へアウトソーシングし、固定費を変動費に変える
  • 物流KPIの策定:配送密度などの数値を分析し、継続的な改善の基準を作

他社の成功事例を参考にしながら、自社の業務フローに合わせたシステム導入を進めることが持続可能な経営基盤の構築に直結します。

物流コストを効果的に削減する方法・アイデア7選

昨今の物流業界は、燃料費や人件費の高騰に加え「2024年問題」や「2026年問題」など厳しい環境にあります。多くの企業にとって、真っ先に取り組むべき課題です。

コストを抑えつつ品質を維持するには、デジタル化や運用改善による構造的な無駄の排除が欠かせません。各削減手法に着手する前に、コスト項目ごとの改善の方向性を整理しておきましょう。

コスト項目 内容 削減の方向性
輸送費 運賃・燃料費・高速料金など 積載率の向上・ルート最適化
保管費 倉庫賃料・光熱費・保管設備費など 在庫の適正化・拠点の集約
荷役費 入出庫作業・ピッキング人件費 業務の自動化・WMS導入
梱包費 段ボール・緩衝材などの資材費 資材の共通化・適正サイズ化

以下に、企業が取り組むべき具体的な物流コスト削減方法をステップ別に解説します。

①:物流コストを見える化する

物流コストの削減の第一歩は、現状を正確に把握する「在庫管理の見える化」です。

荷主や商品単位で経費を分析し、以下のような自社の課題を浮き彫りにすることで、はじめて根拠に基づいた実効性の高い改善策を立案できます。

  • 配送1件あたりの平均コスト
  • 倉庫内の工程別所要時間と人件費
  • 受発注に伴う事務作業のコスト
  • 季節変動によるコストの推移

こうした見える化のプロセスを自動化するのが、クラウド型WMS「W3 accounting」です。

W3 accounting

現場の実績データを自動で取得し、工程別の工数や生産性を日次で可視化します。稼働状況を定量的に把握できるようになるため、改善すべきポイントがより鮮明になります。

②:WMS(倉庫管理システム)を導入する

倉庫内業務の効率化には、WMS(倉庫管理システム)の導入がおすすめです。デジタル化を進めることで、作業スピードの向上とミス防止を同時に実現します。

リアルタイムの在庫管理は、過剰在庫の抑制や欠品による緊急配送の防止に役立ちます。手作業による属人化を排除し、現場の生産性向上に有効です。

2026年以降の法改正では荷役時間の短縮が求められます。WMSによる指示の最適化は、法規制への対応としても不可欠です。

WMS導入と経営に関する調査では、WMS導入がもたらす経営メリットやコスト削減に関する調査結果をご確認いただけます。

③:TMS(輸配送管理システム)を導入する

輸送コストの削減には、TMSの活用が有効です。AIを搭載したクラウド型システムは、導入後、速やかな効果改善が見込めるアイデアとして注目されています。

配送ルートや車両台数を最適化すれば、走行距離と燃料費の直接的な削減が可能です。経験や勘に頼った計画をデジタル化し、効率的な運行を実現します。

  • AIによる動的ルート生成
  • 運行管理の自動化による荷待ち時間の短縮
  • 積載効率の計算による最適な車両選定

こうした配車効率の最大化により、運送業コスト削減に直結する外部への委託運賃の低減が期待できます。

参考:物流業界におけるAI活用の重要性|メリットや導入事例を解説

④:物流拠点の集約・再配置を行う

物流網全体の構造を見直す拠点の再配置は、中長期的に大きな削減効果をもたらします。

拠点と納品先の距離を縮めれば、リードタイム短縮と輸送コスト削減を両立可能です。一時的な費用はかかりますが、倉庫の統合による管理スタッフや設備の重複解消は、トータルコスト最適化の重要な転換点となります。

⑤:配送ルートを見直す

運用レベルで即実行できるのが配送ルートの改善です。固定されたルートが、現在の荷量や配送先に最適であるとは限りません。

走行距離を短くすれば、燃料費だけでなくドライバーの残業代抑制にもつながります。2026年問題の労働時間規制を遵守する上でも、この見直しは必須です。最新のAIツールを使えば、交通状況に連動したルート変更が可能です。

⑥:トラックの積載率を向上させる

トラックの荷台に空きがある状態は、コストを押し上げる要因です。1台あたりの積み込み量を増やす積載率向上の取り組みが欠かせません。

輸送効率の最大化によって、必要なトラックの総台数を削減できます。2026年施行の法律でも効率化が求められており、法遵守の面でも大切です。

例えば、以下のような施策により運賃を抑制しながら安定した配送体制を築ける可能性があります。

  • 他社と荷物を積み合わせる共同配送の実施
  • 段ボールサイズの統一による荷姿の最適化
  • 配送頻度の調整による1回あたりの荷量増加

⑦:専門業者へアウトソーシング(3PL)する

自社で物流管理が困難な場合は、3PLの活用が有効な選択です。プロのノウハウや配送網を利用し、効率的な体制を構築できます。

3PLを導入すれば、固定費を変動費に変えられる点がメリットです。自社で設備を持つリスクを抑えつつ、物流コスト削減方法を専門的に実践できます。

アウトソーシング(3PL)のポイントは以下の通りです。

  • 専門知識を持つ人材の確保が不要
  • 業者のネットワークによる共同配送の利用
  • 物流DXへの投資リスクの軽減

自社で解決できない課題も、プロの力を借りることでトータルコストを最適化できます。

まとめ

この記事では、物流コストが上がっている理由や、コストを削減する具体的なやり方を解説しました。

現場の状況をふまえて物流システム活用や拠点を見直すことによって、物流コストを削減しながら利益を出しやすい体制を整えられます。自社の状況に合わせて、できるところから少しずつ改善を進めていくことが大切です。

物流コストの管理を強めて、経営判断の効率化をお考えでしたら、物流と会計を連携させた「W3 accounting」をぜひ検討してみてください。今の課題に合わせた運用方法をご提案します。詳細についてはお気軽にお問い合わせください。